2016/06/02(木)エドゥアルド・ハルフォン「ポーランドのボクサー」

『ポーランドのボクサー』白水社、日本語訳が5/26に出版されたとか。
「少数派的状況を生きる自身のルーツを独特のオートフィクション的手法で探究。ユダヤ系グアテマラの鬼才による日本オリジナル短篇集。」とか複雑で面白そうですね。
ポーランドのボクサー (エクス・リブリス)
エドゥアルド・ハルフォン
白水社
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著者のインタビューを和訳してくださってるページがある。
EH:うん。あの出来事がひとつの恒星というか銀河の核になっている。あの短編のもとになったイメージ、要するに三部作のすべての源となったイメージは僕の子ども時代にさかのぼる。祖父の腕にはアウシュビッツの番号が刻まれていたんだが、僕がそれについて訪ねると彼は電話番号だと答えた。あのあたりから僕の知識欲が生まれた。「ポーランドのボクサー」の最初の一行はあの番号で始まるからね。 

 問:アウシュビッツの件についてはおじいさんから具体的に話を聞いたんだろうね。

 EH:いや、それは違う。祖父は1946年にグアテマラに来て以来、なにも過去のことを話そうとしなかった。だから腕の番号についても電話番号だと言っていた。間接的に「話したくない」と伝えていたんだね。実際になにも話してくれなかった。60年にもわたって一言も。それが、亡くなるほんの10年前になって…ようやく語りだした。死が近くなってはじめて、後世に伝えておきたいと思ったんだろう。」
「エドゥアルド・ハルフォン――ユダヤ人であると思うときの違和感」(2014年6月16日、フランコ・チアバロティによるインタビュー)より
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